• RyoFujisaki

第8回 街の整体院(後編)

引き続き、とある街の整体院よりお送りします。

 

前回お話を頂いた「先生」。このお仕事を始められるきっかけの出来事が、子供の頃にあったそうです。先生は当時のことを思い出すかのように、語ってくれました。

 



 

 

先生:・・・この仕事に入ったのは、自分が小学校5年生か6年生の頃だったかなあ。

 

先生:腰痛を患ってね。持ち前の持病があって。ペルテス病っていう。右足の・・・股関節のところが腐ってくる病気があって。それで、腓骨をちょっと切って移植するって。「大学病院でタダでその手術をするから、研究材料にさしてくれ」って。

 

先生:当時、M教授っていう整形の教授から頼まれて、親はそれを・・・もうお金もなかったし、了解して。学生の研究材料にされて・・・それでまあ、入院したんですよ。それが幼稚園の時。そっから6年間も苦しんで。そのオペのしっぺ返しで・・・まあそれもあって、その、痺れとか痛みがひどくて。それで、親父が見つけてきたある鍼灸師のおじさんと出会ってね。そこに行ったら劇的に痛みが取れて・・・すごい人だなこの人って。

 

先生:あんなデカい大学病院の先生とかが、何十人もかかって俺の身体を虐めて治そうとしたのに、このちっちゃなおじちゃんがおれの痛みをとってくれた、っていうのが、小学校5年か6年の頃ですよ。まあ5年から6年にかけてだね。

 

 

―― 一度二度ではなく、時間をかけて治療されたんですね。

 

先生:そう。したら劇的に痛みが取れてさ。すごい人が世の中にはいるもんだなあと思って。医者よりすごいじゃん、大学病院よりすごいじゃん!と思ってさ。笑 まあ、嬉しくなっちゃって、その勉強をしたいなと思って小学校6年生の時からはじめたんですよ。何をすればいいかって、その鍼灸師の先生、内田先生っていう・・・その先生に聞いたら「まず人間の身体ってどういう風にできているか。そういう本を、貰ったり見つけたりして勉強しなさい」とか言って。それがまあ、のちに言う解剖だよね。笑

 

先生:でその解剖をして、その部位がどういう働きをしていて、どういう為になっているのかっていうのが生理学か、みたいな・・・生理解剖学をちゃんとしたらいいよ、みたいな話を小学校6年の時、その鍼灸師から言われて。中学1年から、学校の勉強をしながらそっちの方に興味があってさ。人間の身体を解くのが、解剖するのが・・・ここにどういう筋肉があって、あ、これがこういう動きをしてるのか、みたいな。そういうのがめっちゃ楽しくなっちゃったんだろうね。そうするようになってこの、整体の世界に入っていったんだけども。

 

 

先生:本格的に整体の勉強をし始めたのが・・・俺、柔道部だったんだよ。中学校の時は柔道はやらなくて剣道をやってて、で剣道でどうしてもやっぱり剣道で竹刀握って構えると(手術の影響で)右足がどうしてもまあ1㎝くらい短いんで、なかなか踏み込めなくて。それでガクッとなって、足首やったりとか膝をやったりとかして多くて。それで中学校で辞めて。

 

先生:整体師の免許を取るのに、当時の金で200万から300万ぐらいの授業料がかかるとか言って。俺貧乏してたんで、そんなことは出来ねえなと思って、柔道を始めたの。 当時ねえ、学校に行かなくても柔道整体師っていう、今では柔道整復師・・・って言うんだけど。柔道をして強くなれば貰えるなって思って。単純な発想ですよね。笑 当時講道館(柔道の総本山)で5段をとったら、道場の開業と、治療をしていいよっていう免許証が貰えた。当時我々の頃は。それ聞いて「お、これいいな」と思って。それで柔道を始めたんですよ。


 

先生:それでまあどうにか、血の出るような、もう、小便に血が混じるほど練習をして、優勝も重ねて。達成したと。そんなもんですよ。そっからまあずーっと、好きだから。他の商売をしてお金を稼いで事業をしても、整体だけはやめなかった。

 

 

―― 他にもいろいろな仕事をされたんですか?

  

先生:やりましたやりましたもう。お金のために。やったんですよ。だからまあ、そんなことでやってきて・・・なんていうかな。世話好きなんですよ。我々。そこまでして。だからそういうことでやってるんですよ。もうだから(出会って)50年ですよね。だって中学1年の時から数えたら・・・13歳ですからね。今年で68、いま67なんで、54年目くらいになるんだね。

 

 

―― 中学生の頃からずっと、勉強されてるんですね。

 

先生:やってます。すごいですよね。50年以上やってきましたね。だけど、俺が自慢できるのは、一回も事故やったことないんですよ。施術していて失敗したことがない。相手に負荷を与えたとか、喧嘩になったとか。お客さんと。一ぺんもないんですよ、そういうのが。それだけが自分の自慢ですよね。

  

先生:ただ60過ぎたときに・・・6年前に仲間が作り上げてる「日本治療協会」っていう保証制度の協会があって。まあ保険ですよね。それに入ってます。60過ぎてからですよ。やっぱり。自分の体力にほら・・・免許証の返納と一緒で。ブレーキとアクセルを間違えたらいけないから。笑 やっぱり60過ぎたら。

 

 

ーー 長くやっていると、そういう衰えを感じるものでしょうか。

 

先生:そうそう。筋肉の衰えとか。錯覚はあったらいけないと・・・ないよ?ないけど「もし」っていうことを考えて「お客様にそういうのを与えちゃいけないな」と思って、そういうのも首尾万端にやってますよ。

 

 

 

 



先生が整体の勉強を始められてから、五十余年。

今では先生のもとで、勉強をしているお弟子さんもいらっしゃいます。今日はその中から、2人の女性・・・H先生、T先生にお話を伺うことができました。

 

 

 

H:・・・すみません、バタバタで。笑

  


 

 

ーー いえいえ、お忙しいところすみません。笑 ・・・早速ですが、このお仕事を始められたきっかけは?

 

H:私のきっかけは・・・うーんと、私の両親が先生と知り合いで、そこで。うちの両親が居酒屋をしてたので。先生がご飯を食べに来て。「最近なんかおもしろいおじちゃんが来てる」みたいな感じで、私も会いに行ってみようって行ったのがきっかけで。

 

H:うちのお父さんがずっと、五十肩か四十肩を患ってて。右肩が全然上がらなくて。もうなんか左手で自分の右手を動かすみたいな時もあって。でも、その時先生が整体されてるなんて知らなくて「そんなの1分で治すよ」とかって言うから・・・

 

 

ーー お店でそんな話があったんですね。

 

H:そう。お店で。で「いやいやもう何年上がらないと思ってんの?」みたいな感じになって・・・そうしたら先生がピン、ピン、ピンって何かやったら、「ヒュッ」って上がったの! で、カッコいいって思って。勉強したいって。シンプルに。かっこいいから。

 

 

ーー それで先生のところに・・・

 

H:そうそうそう私は。先生みたいにカッコ良くなりたいって思って、この道に入りたい!って思って。

 

H:それでその後も、うちの父は若い時に4階から落ちて、腰を悪くして・・・年に1回、1週間くらい歩けなくなるの。毎年あった症状。それも先生がとってくれて。今は全然腰が痛いとか言わないし。で、私が初めて先生に施術してもらった時も「今までに味わったことのない快眠」を。朝起きた時の目覚めがハンパなくって!もう味わったことない、忘れられないくらいの快眠を味わって・・・そういうのがもうバーッて起きたから「・・・かっけぇ、、」って。先生みたいになりたいから、この道に入った。だから、先生が整体じゃなくって・・・だったら、もしかしたら別の道だったかもしれないし。カッコいいことをしてる先生がやってるのが整体だったから、整体してる、っていう。笑 ほんと、動機がね。笑

 

 

ーー 刺激というか、そういう出来事が続いて「これだ!」っていうのが見つかった感覚でしょうか。

 

H:そうそう、、だから、私もずっといろんな仕事して・・・天職とか適職とか、自分に何の仕事が合うのかとか、、まあ働いてるけどなんかどうせ私じゃなくてもこの会社は回るだろうとか、私がいなくても他の人がやればこの仕事は回るだろう、みたいな感じでずっと働いてたけど・・・この仕事とか先生のこの技って「先生じゃなきゃ駄目」とか「この人じゃなきゃだめ」っていう仕事でしょ?そういう自分が求めていた仕事に出会った、みたいな感覚になったのが、この仕事というか。

 

H:私は整体っていうと、誰かが誰かを整体して、でもその人は疲れるじゃん。みたいな。で、またその人を誰かが整体して疲れるじゃん、誰も報われないじゃんくらいにしか思ってなかったの。昔は。ホントね、失礼極まりなかったけど。。笑 でも、私はこの仕事に出会って人生変わったし、先生に出会って人生が180度変わったから、、その出会いがなかったら私はほんと、腐った人生を送ってたって思うから、って感じで。 6年か7年くらい、やってるって感じ。7年目に入るのかな。

 

 

ーー それだけ続けられているのですね。最初の頃と比べると、うまくアプローチできるようになったな、とか、上達した所もあるかと思いますが・・・どうでしょう?

 

H:もうすっごい楽しくて仕方ない。笑 最近また、そういうなんかこうずーっと練習してたりとか、ずーっとやってたものの・・・最初弟子入りした時はね、例えばふくらはぎを仕上げるのに、3時間くらいかかってたの。それが、2時間になって、1時間になって・・・最近は何分もかからなく仕上げられるようになって。

 

H:それが、片方のふくらはぎをやるにしても、短時間で的確にできるようになって来ると「技」みたいなのの蓄積が増えてくるじゃない。自分の中で。それが楽しくて仕方がなくって。笑

 

 

ーー 足を持ち上げるチェックが印象的でしたが、あれは何を見ておられるのでしょう?

 

H:あれは、足が上がるか上がらないかで、自律神経のバランスが整ってるか、整ってないかを見てるから。だから、軽く上がるようになってくればその人の自律神経のバランスが整ってきた、っていうチェックというか、テストというか。重ければ身体のバランスが崩れてるわけだから、どこかに痛みが出たり、だるさが出たり、気分が沈んでしまったりっていうのがあるけど・・・足が上がる、バランスが取れてくれば痛みも取れるし・・・まあひとつの目安の検査かな。

 

 

ーー 人によって足の上がり具合に違いもあると思うのですが・・・いかがですか?

 

H:違いますね。運動神経がすごくある子は、バランスを整えてあげるとすごく上がるようになったりとか、、上がり具合も人それぞれかな。その人にとってバランスが取れている状態っていうのを見るの。

 

 

ーー こちらでは一度の施術が1時間から、1時間半くらいと、、普通のマッサージや整体と比べると、長い時間施術をされるようですが・・・

 

H:やっぱり先生の中で・・・まあその、一応時間を1時間くらいとは設けてるけど、その人が悪ければ、きつければ何時間かけてもやって上げようっていうのが先生のスタンスだから。 自分の中でちゃんと納得できる仕上がりになるまで、絶対に譲らないから。だから、2時間かける人もいるし・・・施術に対して絶対に妥協しない。っていう、、「このくらいに仕上がればいいか」っていうのは、無い。この人だったらこのくらいまでもっていかなきゃダメ!っていう所まで、必ず持っていく。時間があるようでないし、先生の場合よく「赤ひげ先生」って言われるけど、料金があってないようなもんだし・・・みたいな 笑

 

 

ーー 値段設定も決して安くないと思いますが、実際に受けてみると「こんなに変わるの?!」と言われる方も多いようですね。

 

H:ね。よく言ってもらえます。だから、すごいと思う、先生の技は。もう全ての・・・頭蓋骨の調整、腱引き、髄液を流す、リンパを流すっていうのを、一個一個でみんな商売にしてるのに、全部入れてひとコースにしてるから。 髄液を流すだけで1~2分だけなのに、1万円、2万円って取ってる人もいるのに・・・頭の調整だけで1~2万、、リンパ流すんだったら1時間4~5千円とか、腱引きも4~5千円、筋膜も筋膜で、都内なら1万円とか。

 

H:全部それぞれを「それだけしかやらない」っていう人たちがいるのに、先生は全部入れて1個のコースにしちゃってるから。それは結局「頭蓋骨だけじゃだめだ、リンパだけじゃダメだ、筋膜だけじゃ腱引きだけじゃ・・・トータルでできない」って、先生が全部組み合わせてるから、こういう流派になったんじゃないかな。

 

 

ーー リンパマッサージだけ、という所も見かけましたね。

 

H:そうそう。リンパだけ、ふくらはぎだけ、とか。膝から下だけとか。よく「足裏」とか「足つぼ」だけで一時間3~4千円って所もあるけど・・・うちはそれもして、本当に頭の先から足の先まで、全部のバランスを取ってあげるっていうのが、先生の考えだから。すごいな、って。普通の人は多分やらない。

 

 

ーー 先生の仰るような「バランスを整える施術」都なると、全体を見るというのが大事なのでしょうね。それも、その場所の人、その人に合わせて行う、と・・・

 

H:そう、だから九州だったら九州の施術があるし、関東だったら関東の施術があるし。

 

 

ーー 先生も仰っていましたが、ご自身でも違いは感じられますか?

 

H:感じます。九州で一緒のことやってて、関東に来たら「むっちゃ効くね」っていう事もあるし、九州で「う~ん」って思ってたのが・・・効くんだけど、先生の想定してたようには効かないな、じゃあ他のでやろう、って代替えを作るんだけど、関東に来たら九州でやってたあの技がむちゃくちゃ効く、っていうのがすごくある。

 

 

ーー その土地土地で、環境が違うというのが出てくるんですね。

 

H:例えば南の方だと、地域によっては台風が多いから、ウイルスをすごく運びやすい。それに対する施術とか。ほんとに環境で変わるっていうのは、ものすごく実感します。

 

 

ーー これからの目標や、展望などはありますか?

 

(そんな話をしていると、どこからともなく先生が・・・)

 

先生「・・・もう早く先生から離脱して独立したいとか言っときなよ。笑」

  

H:笑。

・・・先生みたいになりたい。変わらず、ずっと。始めた時から。先生みたいに、まずなる。笑

 

 

 

 

もう一人、昨秋からこちらに来ているというT先生にもお話を聞いてみましょう。

 

 



  

T:私が来たのが、、一番初めにここに来させてもらったのが7月で、、実際に先生に色々と見せてもらったりしたのが9月ぐらいからで・・・実は12月までは前職の病院で勤めさせてもらってて、で、1月からはこっち1本で、という形でやらせて貰ってますね。

 

 

ーー 最初は「お客さん」としていらしたのですか?

 

T:まあ正確にいうとお客さんなんですけども、、どこが痛いから来たというよりは、ここを紹介してくださった方がいて・・・私が病院を辞めたいというか、自分で何かをやりたいなと思ったんですよ。病院から出て、その世界にこう、、「自費の世界」に入りたいって将来的な話をしてたら、その人が「まず、自分でやるんだったら実際にやっている人のところに行って見た方がいいんじゃないか?そこで勉強した方がいいんじゃないか?」ってお話を受けて・・・

 

T:私、ずっといわゆる「病院」で働いていたので、こういう世界って来たことなかったんですよ。だから、その人が言うには「一回受けて見なさい」と。受けてみて、どんな感じかで判断して、、合う合わないもきっとあると思うので、って。で、実際に私も首が痛いとか膝が痛いとか多少あったので、どんな感じなのかなってことを試しに受けに来た、みたいな。笑 それで、ここを紹介してもらったんです。

 

T:私はこういう所を・・・言い方が悪いですけれども、こういう所を実際に見てやりたかったというよりも、自分の展望がある程度あって。

こうしたい!っていうのがある程度実はあって。それを実際に実現している人達もいて・・・そういうモデルを取り入れて、自分のオリジナルを作りたいとかある程度のことはもう決まってたんですけど、でもやっぱり今までずっと会社の中にいた人間が自分でやるって結構大変だから、まずは勉強しなさいというか、勉強した方がいいんじゃない?っていう提案を受けて。「確かにそれもそうだな。」って思って、先生にお会いして。

 

 

ーー ちなみに、その時の展望というのは・・・

 

T:私は、施術をするというよりはボディーワークをしたくて。

ピラティスをやってて、理学療法士とピラティスを一緒にやりたいなと思ってたんですよ。だから、私が介入して治すというよりは、その人が自分でよくなってもらいたいな、と・・・最後は運動療法だと思っていたので。ピラティスを主体としてやっていく中でも、動きが悪いところは徒手介入をしなきゃいけないな、と。

 

 

ーー 理学療法士なのでそういったことができる、というわけですね。

 

T:はい。そういった感じで個別レッスンをして行きたいなと思っていて。ちょうど知り合いに、理学療法士でヨガをやっている子がいて「その子とタッグを組もうかな」とか。アロマやってる子がいて「タッグ組もうかな」って話をしてて。それで、スタジオをやりたかったなって思ってたんです。最初はそんな感じでした。

 

T:やっぱりこう生きてく中で「私がいないと良くならない」じゃなくて、その人が自分で良くなるスタンスを作っていってもらえれば、みんな元気になっていくかな、っていうのを思ったりして。今ではちょっと変わってきてはいるんですけど。

 

 

ーー 実際にこちらに来て、施術を受けてみてどうでしたか?

 

T:衝撃だったんですよ。何だろうな?みたいな。私ずっと11年間くらい西洋医学に携わってきて、なんかこう、、「身体の循環を良くしなきゃいけない」のはずっと分かってたんですよ。色々施術をしても、循環を良くしないと根本的には治らないっていうのは何となく、なんとなくわかってたんです。ただ、それを実際どうやっていいかもわからないし、どう伝えていいかもわからないし、そのメカニズムもよくわかっていなかったんで、それを先生が説明しながらやってくれた時に「これだな、これだな、」って。私の知りたかったことだなっていうのがわかったんですよね。

 

 

ーー それまでの経験や、知識として断片だったものが・・・

 

T:繋がった、っていう感じだったんですよね。うわぁー、、って思って。

今の世の中医療保険がありますけど、医療保険だけじゃ絶対に良くならないなあと思ったから・・・ここの先生も「自費の世界」でやらなきゃいけないとか言ってたから。自費の世界だと、お客さんもお金を出しているので、お客さんもこう、かなり気合が入ってくるというか。

 

 

ーー 自費(自由診療)と違って、保険診療は3割か、1割負担ですもんね。

 

T:そうそう、だから・・・「チャリンッ」っていうような金額なので。患者さんも治る気が無いというか・・・別に無いわけじゃないですよ?治したいって来る人もいますけど、ただやっぱり、ここに来る人って本当に「治りたい!」って思ってくるので、そういう世界で、私はそれに対して応えられたらいいな、って思うことも先生がやってたので「ああ先生、すごいな」って。

 

T:ただやっぱり、西洋医学と東洋医学って相反するところがあって。最初はちょっとこう葛藤じゃないですけれど・・・学生時代を含めると11年くらいずーっとそれを信じて、じゃないですけど、正しいと思っていたところに・・・初めは「これどうなんだろうな」とかっていうのはすごくあったんです、最初3ヶ月くらいは。でも、今となっては先生が言っていることもすごい理解できますし、理に適ってることだと思うので、自分なりに落とし込んでいければいいかな、っていう段階かなって思います。

 

 

ーー 実際に施術をするようになって・・・いかがでしょう?病院にいたころとの患者さんとの向き合い方だったり・・・

 

T:気持ち的には変わってないんです。治してあげたいとか、良くなってもらいたいっていうのは変わってないですけど、病院だとだいたい15分で30人くらいを回すんですよね。その、回すっていうのが言い方悪いですけど。

 

 

ーー 入院されている患者さんの検診だとか、すごい人数を相手にされますからね。

 

T:そう、だから「向き合いきれない」っていう所が結構あって。もちろん、いかにその短時間でよくするかっていうのも、すごく大事なことだと思っていたので。ただ、コミュニケーションも取り辛いですし、その人の背景もよくわからないんですね。症状しかわかんないですし。そういう意味では、ここはある程度の時間が取れて、お話ができて情報収集も出来て、って考えると・・・環境的にはストレスフリーですよね。病院の時は予約表をブワーーって見て「今日はこの時間に4人、5人だからこのくらいの時間で区切って・・・」とか考えて。でも(患者さんは)待ってるから「すみません、、」みたいな。笑 そこに新患が入ってきて、みたいな感じで。

 

 

ーー 病院や医者の待合室って、どうしてもこう「殺伐と」じゃないですけど、すごい雰囲気ですよね。

 

T:そうなんですよね。診る側もみんな最初はそんな気持ちでやってないですよ。でもだんだんだんだん、そんな感じになってきちゃう現実がすごく嫌で。

 

 

ーー 医療の道に入りたい」って、最初に思った時とのギャップといいますか、、

 

T:そうですね。。私はこう、スポーツやってる子たちに、怪我をしないでずっとプレイしてもらいたいっていうのがあったので。だから、私は本当は「ケガをした子を治したい」よりも「ケガをしない身体を作りたい」みたいな、予防をしてあげたいと思って。もちろん、怪我した子を復帰させる、早く直すっていうのは大事なんですけども、その前に「どうやったらケガしないかな」っていうのをずっと思ってて、そういう子たちを作ってあげたいなっていうのもあって。それはやっぱり先生すごいな、って。

 

 

ーー 何かきっかけがあったんでしょうか?

 

T:わたしもやっぱり、怪我をしてしまったので・・・バスケをやってて、手術をしなきゃいけなくなっちゃってというか、手術の選択をしてから、半年、一年ってスポーツをできない時期があって。

高校なんて2年とちょっとしかバスケ出来ないのに、1年間出来なかったら…って思って。そういう子を増やしたくないな、って思って。それが最初のきっかけでした。そういう意味では、(病院時代は)そういう仕事に関われてるってこと自体は楽しかったんですけども、そうじゃない「こなさなきゃならない」っていうのはすごくストレスでしたね。

 

 

ーー 理学療法士の資格やピラティスはどちらで・・・?

 

T:理学療法士は専門学校を出て、それから国家試験を・・・まあ、どこの学校に行っても理学療法士の国家試験は受けられるので。笑 ピラティスは・・・なんかこう「姿勢がすごく大事だな」って、2年目くらいに気付いたんですよ。こーんな姿勢でずっとゲームとかやってたら、いくら私が治療しても治んないな?とか思った時に「どの姿勢がいいんだろう」とか「そもそも姿勢が悪くなっちゃうのはなんでだろう?」とかいろいろ調べたら「ピラティス」って単語が出てきて。何だろうって調べたりしたときに、実際にスタジオで体験してみて・・・「これはすごくいいな」って。

 

 

ピラティスは、 ジョセフ・ピラティス氏が提唱した運動方法。

ヨガのようにマットを敷いて行うが、背骨や骨盤など体幹へのアプローチに特に重点を置いている点と、静止するポーズではなく、アクティブに動く点が特徴だ。

 

T:背骨が崩れると呼吸ができないので、その呼吸を・・・ヨガも呼吸を大事にしますけど、そのブリージングっていうのをしっかりやるために・・・ブリージングがしっかり出来さえすれば、酸素と二酸化炭素の入れ替えができるから、健康に近づく、ってことで。・・・ここでもすごいやりますね。呼吸法。

 

T:あとはこう、、全部をコントロールするっていうか、全部脳が指令を出してるんですけれど「指先から足の先まで、自分の思ったことを表現できるようにすれば、怪我はしない」ということを先生はよく言っているので。自分の身体を自分でコントロールするっていうのを、すごく大事にしているかな、と思いますね。

 

 

ーー これまでの・・・理学療法士、ピラティス、そしてここでのことが繋がってきている、という具合でしょうか。

 

T:そうですね。理学療法士とピラティス、それと先生のやり方っていうのがリンクして、何かを提供したいなっていうのは今すごく思っていて。ただ、そのためには徒手介入も必要なんだな、っていうのを最近すごく感じています。

 

 

ーー 色々やられてここまで来て、展望が楽しみですね。今後はそういった徒手介入をするやり方で、治せるように、予防できるようにという方向に・・・

 

T:ですね。予防していきたいな、と。私は徒手介入はあんまりしたくなかったというか、好きじゃなかったんです。だから、ちょっと逃げてた部分もあるんですけど。でもここにきて、徒手介入はちゃんとしていかなきゃいけないな、きっかけづくりをしてあげなきゃいけないんだなっていうのを、すごく思っています。

 

 




先生の治療方法や、お客さん、患者さんとの向き合い方。

それはお弟子さんに伝えられて、きっとこれからも残っていくのでしょう。

 

どこかの街にひっそりと構えた、小さな、小さな整体院の中には

お客さんと先生たちの、賑やかな声と笑顔が溢れていました。

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